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ミニ・プロフィットセンター制のアカウンタビリティ関係構築には

たす管理会計情報の役割-A社におけるケーススタディ-

松木智子(青森公立大学)

Ⅰ はじめに

責任会計では、期首に設定された財務目標に対して望ましい財務数値で示すことによっ

て説明責任 (アカウンタビリティ)が解除される。しかし、本ケースが示す擬似的なミニ・

プロフィットセンター制では、財務数値以外に多くの説明が求められ、その一方で、組織

メンバーのモチベーションの向上に寄与している (渡辺,2004)。このように擬似的なミニ・

プロフィットセンター制は、同じ*プロフィットセンター*という会計情報を通じたコン

トロールの形態をとりながらも、責任会計とは異なるアカウンタビリティの関係を構築し

ている(松木,2005a, b)。本研究の目的は、A社のケース研究を通じて、擬似的なミニ・

プロフィットセンター制におけるアカウンタビリティの関係とその方法を明らかにし、そ

こで会計情報が果たす役割を明らかにすることである。

Ⅱ 管理会計的アカウンタビリティ

アカウンタビリティとはある行為にたいして説明をする義務のことである(Perks 1993;

Roberts 1991)。一般にアカウンタビリティといえば、取締役が社外の利害関係者に対し

て財務会計情報を開示することと考 えられるが、一方で、組織の中で上司と部下の関係に

おいて発生するアカウンタビリティ は管理会計的アカウンタビリティ(managerial

accountability)と呼ばれる(Perks 1993)。本論におけるアカウンタビリティの関係と

は後者を指している。

さらによりひろく捉 えると、アカウンタビリティは社会的行為を説明するプロセスであ

り(Ahrens, 1996)、組織メンバーは、自分が属する組織の中でその社会的規範に適合した

行為を行った、と説明することによってアカウンタビリティが解除される。会計情報はそ

の説明の方法の 1つにすぎない。組織におけるアカウンタビリティのスタイル(ある行為

に対する説明方法のスタイル)(Ahrens, 1996)を理解することによって初めて会計情報が

果たす役割も明らかになるのである。

研究課題:ミニ・プロフィットセンター制のリーダーと関係者の間で、どのような説明

が、どのような方法によって行われているのか、そこでは会計情報はどの程度重視されて

いるのか、を明らかにする。





Ⅲ 研究方法

本研究は、住友電気工業㈱の関連会社であるA社における単一ケーススタディである。

調査の方法は、予備的質問票調査、インタビュー調査、教育や会議等の観察である。2001

年10 月11日、12日に質問票調査(回答数は 26 件)とインタビューを実施し(主要リー

ダー5人、メンバー7人、上司2人の計 14 人)、2005 年 2 月 23 日には、その上司にたい

するインタビューを実施(4人)した。また、2000 年から現在まで断続的に、ミニ・プロ

フィットセンター制の教育機関であるKLCスクールを観察した。

Ⅳ 報告の概要

本報告では、まず、ミニ・プロフィットセンターのリーダーにたいするインタビューか

ら、各リーダーは強い利益意識を抱いていることを明らかにする。次に

、A社のミニ・プロ

フィットセンター制におけるアカウンタビリティの関係を明らかにするために、同社で考

えられているミニ・プロフィットセンターのあるべき姿(その組織での社会的規範)を明

らかにし、各リーダーに求められる説明の内容やその方法、アカウンタビリティのプロセ

スにおける会計情報の位置づけを明らかにする。

結論として、ミニ・プロフィットセンター制における会計情報は、ミニ・プロフィット

センターのリーダーに緊張感を与え るが、多くの場合それはモチベーションの向上を促進

している。そして、会計情報は組織の中では比較的正確に現実を表す指標として、関係者

から重要視されていることを示す。

参考文献

Ahrens, T. (1996) "Styles of accountability", Accounting, Organizations and Society, 21 (2/3), 139-173.

Perks, R.W. (1993) Accounting and society, Chapman & Hall.

Roberts, J. (1991) "The possibilities of accountability", Accouning, Organizations and Sociey, 16 (4),

255-270.

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小林哲夫(1998)「アカウンタビリティの概念と戦略的管理会計」『国民経済雑誌』177(3), pp. 1-15.

松木智子(2005a)「ミニ・プロフィットセンター制によるマネジメント・コントロールの分析:結果・行

動・人事・組織文化によるコントロールの視点から」『原価計算研究』29(1

), pp. 92-104.

松木智子(2005b)「擬似的ミニ・プロフィットセンター制におけるアカウンタビリティ構築に果たす管理

会計情報の役割」『青森公立大学経営経済学研究』,

11(1) 近刊.

渡辺岳夫 (2004)「ラインカンパニー制がカンパニー・リーダーの内発的動機づけに及ぼ

す効果:住友電工

㈱グループにおけるラインカンパニー制の実証的研究」『原価計算研究』28(2), pp. 12-26.

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