順天堂大学 国際拠点大学構想について
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持続可能な発展に向けた日・ASEAN協力(提案)
京都大学 竹内佐和子
1.背景
日本とASEAN
協力を、大きく分けて三つのテーマにしぼって検討してみたい。第一は、グローバリゼーション、第二は、地球温暖化問題、第三は、医療・福祉サービスの国際化にかかわる分野である。
これらの三つの課題は実は相互に関連があるため、協力の枠組みを相互に連携させていく必要がある。
第一に、昨今の急激なグローバリゼーションは、ASEAN域内の資本移動と生産システムの国際化をもたらしASEAN諸国の産業の競争力を増大させている。これにともない生産技術や財務会計分野の国境を越えた技術の移転が起こっている。一方、こういった先進技術やルールを理解する人材不足と人材獲得が顕在化し、それが投資の阻害要因になる可能性が高い。
第2の地球温暖化対応問題は、CO2削減に向けた技術移転の動きを加速化する必要がある。しかしこの面での市場化のスキームが遅れている。そのための解決のための枠組みとして、技術移転と技術認証システムを提案したい。
第3の医療・福祉問題へのアプローチについては、ASEAN地域の高齢化に伴い、医療福祉サービス産業が成長産業として注目されている。健康環境を実現することは、都市、国籍を問わずアジア地域の共通の課題である。一方、人が国境を越えて活動するようになったときの健康管理、医療データ・電子カルテのフォーマット対応策が必要である。
2.政策形成にむけた具体的アプローチ
①経済・社会指標の再編成
20世紀の終盤にいたるまで、経済成長率の動向が、国の経済活動や将来の成長性を示すと考えられてきた。国内政策的にもGDPが大きければ、生活水準も向上するはずだという単線的な発想が通用していた。もはやその前提が通用しないことを世界中の識者が認識し始めている。
ASEAN地域では、新しい指標群を作成してそのダイナミックな動きを多元的に把握する方法が必要である。すでに本件はOECD統計委員会においても検討が始まっている(OECD " Measuring Social Progress"
プロジェクト。2009年3月23-24日京都大学桂キャンパスにて指標検討のための国際会議を開催予定)。
ここには、高等教育、環境・エネルギー、公衆衛生(平均寿命、水質等)などの分野からいくつか指標を抜き出して、成長率との合成係数を用いた指標群を作成中である。また、温暖化効果ガスの低減など、プロジェクトの目標達成型の指標も組み込む。
②アジア地域でのネットワーク型高等教育プランとDegree
for Asiaの創設
(アジア・ネットワーク大学構想)
これからの人材育成は、国策によって仕切られた大学教育や各大学の改革スピードにあわせたのでは間に合わない。したがって、国内教育を前提とするものの、それとあわせる形でアジア域内での単位取得を目指すサーキット型の教育システムを導入することを提案したい。これによって、他国で学ぶというスタイルの従来の留学生対策を変革し、相互に学びあう大学ネットワーク教育に転換する必要がある。
このために連携大学を選び、日本とASEAN間で連合体を築き、一定数の学生には単位互換を認めることにより、ダブルディグリーを認める。これにより、アジア・ビジネスに対応できる人材の育成を加速する。他方、こういった高等教育の水平化努力により、アジアというアイデンティティーを共有できる可能性が高まる(一部欧州では実施されている)。
③技術移転市場育成への支援拡大
各国政府は、環境の維持及び保護のために政策的に研究開発(R&DT=(Research
& Technology Development)に投資している。この投資には、直接補助金によるもの、あるいはインセンティブの供与などによるものがある。それらの技術は、通常は民間企業のビジネスによって活用されているが、国際市場には容易に出て行かない性質のものが多い。それらの技術の中には、省エネルギー技術などASEAN諸国の環境問題のために資するものが多くある。そういった技術の移転スキームの開発に対して、政府が積極的に協力や連携を進めてはどうか。
この方法として、すでにESCAP(国連・経済社会委員会)などでスキームが開発されているが(APCTT1)、これを市場化させるロードマップづくりや、国際援助のスキームに組み込むなどの支援を展開する必要がある。
APCTTは、すでに途上国の企業に対する技術移転サービス(事前選抜やマッチング、実行可能性の調査、技術評価)やWEBを通じたパイオニア事業の共有化などを行っている。日本は本事業に加わっていないが、省エネルギー分野の事業開発、普及の経験を、技術移転の出し手として活躍できるような支援体制を整えることが望ましい。
④排出量取引市場の整備と省エネルギー技術等の国際認証システムの構築
京都議定書の調印とともに、排出権取引市場が欧州を中心に拡大しているが、アジア諸国は、主にCDMを通じた形で排出量取引市場に参加する形をとっている。この分野では、日本とASEAN諸国の間ではCDMを通じた取引件数が増大しているが手続きに複雑さなどの理由で、十分なスケールメリットが出ていない。
日本の環境エネルギー技術は、世界でも高い水準だといわれているが、残念ながらこれは海外市場において十分認証・評価されているわけではなく、また日本のエキスパートの知恵も十分活用されていない。したがって、ポスト京都議定書を見越して、日本とASEAN域内で、CO2の削減を大規模に実現するための評価および認証システムを確立することが望ましい。
⑤ウェルネス産業育成に向けた国際協力
ASEAN諸国では高齢化を迎え、医療・福祉サービスにむけて環境整備が進んでいる。これにより、今後自国の健康保険とはかかわりなく、他国でサービスを受ける動きが加速すると予測されている。
一方、日本のように先端医療への認可が遅れている地域では、先端技術を外国で先行的に活用するケースが増大する可能性がある。すでに臨床・治験などを国際的に行う動きは強まっている。
一方、高齢化対応のための福祉人材の不足を補うための人材育成も国境を越えて始まっている。すでに、富裕層のなかではサービスのいい地域に移動する動きが加速しつつある。したがって、本分野でのサービスの自由化方策、医用データの共有の仕組みの開発、低所得層への対応などの検討の枠組みが必要である。
以上
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