α :総合熱伝達率
-->
新潟大学工学部建設学科建築学コース
卒業研究梗概 平成16年度
T01K 734H 畑下 広考
指導教官 赤林 伸一 教授
放射を利用した室内環境調整技術の問題点の把握と解決法の提案
1 研究の目的
室内温熱空気環境を制御する場合 には、空調装置を用
いて空気の温湿度や清浄度を制御する方法が一般的であ
る。一方、快適性の観点から床や天井、壁などの表面温度
を制御する放射型冷暖房が近年普及 し始めている。放射型
暖房は空気温度を相対的に低く出来 ること、上下の温度分
布が少ないこと等多くの利点がある 。しかし、放射型冷暖
房の放熱量の計算手法、負荷の算出法等は未だ確立されて
おらず、経験と勘によって設計されている。又、放射型冷
房では、冷放射パネル面での結露が問題となる。
本研究では、昨年開発した放射制御型環境試験室を用い
て、床暖房時の床面からの放熱量の算出法を検討し、さら
に、床冷房時に結露を防止する方法を提案することを目的
とする。
2 床暖房時の熱伝達率の算出
2.1 床暖房時の床からの放熱量の計算方法
固体表面からの放熱量
は通常次式で求められる。
[W/㎡]
[W/㎡・K]
[K]
[K]
この総合熱伝達率 は、固体表面と室内空気の温度差が
比較的小さく、各表面温度の差も小さい場合を想定してい
るため、床暖房時のように、床表面温度と室内空気温度、
壁、天井の表面温度との温度差が大きい場合に適応するこ
とには問題がある。
表面温度と室内空気温度の差が大 きい場合には、総合熱
伝達率 を放射熱伝達率 と対流熱伝達率 とに分離
し、個々の熱伝達量を計算する必要がある。
2.2 床暖房時の放射・対流熱伝
達量
床暖房時に、床面、壁面、天井面の温度を変化させた場
合の放射熱伝達率 、対流熱伝達
率 を実験的に明ら
かにすることにより、床表面からの放射熱伝達量と対流熱
伝達量の比率を明らかにする。表1に実験ケースを示す。
2.3 熱伝達率の算出方法
放射パネル出入口水温と各系統別流 量を測定し、各パネ
ル毎の受熱 ・放熱量を算出する。放射熱伝達量は表2(1)
式より計算で求める。各パネルの受熱・放熱量が床からの
放射熱伝達量と室内空気からの対流熱伝達量の和であるこ
とから、各パネルの受熱・放熱量から放射熱伝達量を引い
た分を対流熱伝達量としてそれぞれの熱伝達率を求める。
2.4 各熱伝達率算出結果
図1に放射熱伝達率と各表面、室温の温度差の関係を、
図2に対流熱伝達率と各表面、室温
の温度差の関係を示
す。表面温度と室温の温度差が大きくなるほど天井面、壁
α :総合熱伝達率
Q
:空気の温度
T
A
:固体表面の温度
T
S
Q= α ( )
-
T
A
T
S
表1 熱伝達率測定
のための実験ケース
壁・天井床
Case1
30
40
Case2
25
40
Case3
20
40
Case4
15
40
Case5
10
40
Case6
5
40
設定温度[℃]
α
γ
α
c
α
γ
α
α
α
c
各表面と室温の温度差[℃]
対流熱伝達率[W/m
2
・K]
図2 対流熱伝達率と各表面、室温の温度差の関係
各表面と室温の温度差[℃]
放射熱伝達率[W/m
2
・K]
図1 放射熱伝達率と各表面、室温の温度差の関係
y = -3.0544x + 11.209
R2 = 0.9426
y = -0.0825x + 6.479
R2 = 0.7432
y = -3.6997x + 13.747
R2 = 0.89
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
16.0
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0
8.0
9.0
天井
壁
床
天井
床
壁
y = 0.4237x + 2.599
R2 = 0.6702
y = 3.6008x
R2 = 0.7861
y = 2.228x - 0.6631
R2 = 0.9058
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0
8.0
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0
8.0
9.0
天井
壁
床
天井
床
壁
表2 放射熱伝達量の計算式
面1 から面2への放射熱伝達量
12
q [W]は
12
q =
1
4
2
4
1
2
1
12
100
100
S
T
T
C
b
−
ε
ε
ϕ
但し、 :
12
ϕ 面1からみた面2の形態係数
:
1
ε 面1の放射率
:
2
ε 面2の放射率
......
器ポンプ
床冷放射
パネル
再熱
除湿
ファンコイルユニット
面の放射熱伝達率の値が小さくなり 、対流熱伝達率は逆
に、値が大きくなる。床面では放射熱伝達率は表面温度と
室温の温度差に関係なく、約6.0
W/m2 の一定値をとる。
3 床冷房時の結露防止システムの検討
3.1 結露防止システムの概要
図3に結露防止システムを示す。上下に連結させたファ
ンコイルユニットの下段のコイルを除湿コイルとして使用
し、冷水を供給することで室内の除湿を行い、結露の防止
を図る。一方、上段のコイルはファンコイルからの吹出空
気温度を下げすぎないように、床冷放射パネルを通り室内
の冷房負荷を除去して戻ってくる冷 水を用い、吹き出し気
流を再熱するコイルとして使用する 。ファンコイルユニッ
トにはダイキンの床置埋込型ファンコイルユニットFWV
M3B(Z)を対象とする。
3.2 結露防止システムの実験方法
表3に各ケースの設定温度を示す 。床冷房再現時に、潜
熱負荷(加湿器)を与え、冷水チラーの設定温度を変化させ
た場合の室内温度分布、床パネル出入口水温等を測定し、
床放射パネル配管の結露状況を確認する。
3.3床面の結露を防止する露点温度の算出法
表4にファンコイルユニットの除湿量の計算式を示す。
表4(1)式と実験データを用い、除湿量と除湿コイル入口
水温をパラメータとした室内空気の露点温度を算出する。
3.4 測定結果
に冷房負荷除去量の割合を示す。除湿コイルの水温を上げ
ていくと室内の露点温度も高くなっ ていく。Case3、4、
5は床パネル出口水温が露点温度以 下になるため、床パネ
ル配管表面において結露していると 考えられる。また、各
ケースとも床による除去熱量が2割 、除湿コイルによる除
去熱量が8割程度となっている。
3.5 床面の結露を防止する露点温度の算出結果
図5に除湿コイル入口水温と室内空気露点温度の算出結果
を示す。人体からの一人当たりの水蒸気発生量(軽動作、環
境温度25℃)は約 150g/hであるので、室内の在室人数と除湿
コイル入口水温を決めれば、図5からその時の室内空気露
点温度を求めることができる。床に供給する冷水の温度を
露点温度以上に設定すれば結露を防止することができる。
4 まとめ
①床面では、放射熱伝達率は表面温度と室温の温度差に関
係なく、約6.0W/m2 の一定値となる。天井面・壁面で
は、対流熱伝達率と、表面温度と室温の温度差の間に正
の相関がみられ、放射熱伝達率と表面温度と室温の温度
差の間には負の相関がみられる。
②床冷房時の床が結露しない程度に 除湿した場合、床が除
去する負荷は全体の2割程度となる。
③室内の水蒸気発生量と除湿コイル入口水温をパラメータ
とした床面での結露を防止する計 算法を開発し、床冷房
の設計資料として提案した。
冷水チラー送水温度[℃]
室内空気露点温度[℃]
図5 室内発生水蒸気量毎の除湿コイル入口水温と
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
5.0
7.0
9.0
11.0
13.0
15.0
600[g/h]
450[g/h]
300[g/h]
150[g/h]
室内空気露点温度
表4 除湿量の計算式
水蒸気発生量
水蒸気発生量
水蒸気発生量
水蒸気発生量
水蒸気発生量
図4 冷房負荷除去熱量の割合
冷房負荷除去量[
W]
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
1800
Case1
Case2
Case3
Case4
Case5
床
除湿コイル(潜熱)
除湿コイル(顕熱)
露点温度床パネル出口
天井・壁
床
冷水チラ-[℃]水温[℃]
case135
13
7
13.6
14.6
case235
13
8
14.0
14.6
case335
13
9
14.6
14.6
case435
13
10
15.4
14.6
case535
13
11
16.3
14.7
設定温度[℃]
図3 床冷房時の結露防止システムの概要
表3 床冷房の実験ケース
表3に各ケースの露点温度と床パ ネル出口水温を、図4
()
s
a
D
w
X
X
A
h
G
−
=
但し、 :
w
G除湿量[kg/h]
:
D
h
伝熱面の物質伝達率 [kg/m2h]
:
A伝熱面総面積[m2]
:
a
X空気入口平均絶対湿度[kg/kg(DA)]
:
s
X伝熱面平均温度に対応する空気飽和絶対湿度[kg/kg(DA)]
p
D
C
h
h =
:
h 顕熱の意味の熱伝達率[W/m2K]
:
p
C空気の比熱[J/kgK]
・・・・ (
ウエッブサイト:-------http://www.pdffind.com/pdf/4gajaf/
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