酸素運搬タンパク質
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Fukushima Medical
University
酸素運搬タンパク質
ヘモグロビン (Hemoglobin; Hb)
ミオグロビン (Myoglobin; Mb)
筋肉中に存在
酸素分子の貯蔵
単量体(脊椎動物)
循環系に存在(血色素)
酸素分子の運搬
四量体(脊椎動物)
ヘム(Fe-プロトポルフィリンⅨ)
Mbの構造
ヘム鉄(6配位構造)
第1-4配位座:ポルフィリンの4つの窒素原子
第5配位座 :近位ヒスチジン
第6配位座 :空位または外部配位子
遠位ヒスチジン
(E7His)
近位ヒスチジン
(F8His)
マッコウクジラのミオグロビン
8本のαhelixからなる
Hbの構造
ヘモグロビンは4量体
HbA(α2β2) 成人Hbの97%
HbF(α2γ2) 胎児Hb(成人Hbの1%)
HbA2(α2δ2) 成人Hbの2%
Hbの各サブユニットの立体構造は、Mbと類似している
(アミノ酸配列の相同性はそれほど高くない)
Hbの遺伝子構造と発生にともなう変化
Hb Gower 1(ζ2ε2)
Hb Gower 2(α2ε2)
Hb Portland(ζ2γ2)
HbF(α2γ2)
HbA(α2β2)
Hbの吸収スペクトル
デオキシ2+ 空位
型 鉄の酸化状態 第6配位座
オキシ2+ O2
CO2+ CO
メト3+
H2O
メト型には、外部配位子として
CN-
、 N3-
、 OH-など
が配位できる
MbへのCO結合
ヘム単独に比べ、ヘモグロビンやミオグロビンでは一酸化炭素の結合が抑制されている
ピケットフェンス型鉄ポルフィリン
ミオグロビンやヘモグロビンの合成構造類似体
酸素親和性はミオグロビンに類似
自動酸化反応はヘムよりは遅いがミオグロビンよりずっと速い
HbとMbの酸素平衡曲線 oxygen
equilibrium curve
ヘモグロビンとミオグロビンの酸素親和性は大きく異なる
P50
形状
外部因子
の影響
Mb
Hb
1
(mmHg)
26
直角双曲線
シグモイド曲線
なし
あり*
*溶液のpH、DPG、CO2など
Hbの酸素結合の協同性
Hbは酸素分子を協同的に結合する(cooperativity)
ホモトロピック効果
同一のリガンド間で見られるアロステリック 相互作用
O2結合によるO2親和性変化
ヘテロトロピック効果
異なるリガンド間で見られるアロステリック 相互作用
H+やBPG結合によるO2親和性変化
ヒルプロット
ヒルプロットの傾き(n)は協同性の大きさを示す
n = 1: 協同性なし
n < 1: 負の協同性
n > 1: 正の協同性
log
= n log pO2 - n log P50
1 - Y
Y
ヒルの式
酸素結合によるHbの構造変化
酸素化によって鉄原子はポルフィリン平面内に移動する
Fへリックスなどの位置が変化
α1β2接触面とα2β1接触面の構造が変化
αβサブユニットが互いに回転、移動
デオキシHbは
T型 (tense)
オキシHbは
R型 (relaxed)
対称モデル
J. Monod, J. Wyman,
J. Changeux
(MWCモデル)
Hbは分子全体がT型またはR型をとる
(T型はリガンド親和性が低く、R型はリガンド親和性が高い)
2. T型とR型は互いに平衡状態にある
3. リガンドが結合するとすべてのサブユニットでR型になる確率が高まる
逐次モデル
D. Koshland
1. 各サブユニットHbはT型またはR型をとる
2. リガンドが結合するとそのサブユニットはR型になる
3. あるサブユニットがR型になると、それに隣接したサブユニットの酸素親和性が増大する
(リガンドの親和性は、結合リガンドの数に依存する)
2つのモデルのシミュレーション
HbのO2解離曲線は、対称モデルでも逐次モデルでも同様にうまく説明できる
Bohr効果
酸性溶液中では、Hbの酸素親和性は低下する
CO2存在下でも、Hbの酸素親和性は低下する
好気代謝の活発な組織では
O2の解離が行われる
Bohr効果の機構
Hbが酸素と結合すると、H+を放出する
HbがT状態からR状態になると、いくつかの解離基の環境が変化して、そのpKが変化する
(β146His、α122His、α鎖αアミノ基など)
CO2は大半が炭酸脱水素酵素により炭酸水素塩となって運搬される
残りはヘモグロビンのN末のアミノ基にカルバミン酸として結合する
カルバミン酸化したN末はイオン結合を形成してT型を安定化させる
(酸素親和性が低下する)
BPG効果
BPGはヘモグロビンの酸素親和性を低下させる
赤血球中に高濃度に存在する有機リン酸
BPGの結合部位
BPGはHbの中心の穴にイオン結合で入り込む (Hb:BPG=1:1)
BPGはT状態のβサブユニット同士を繋いで安定化させる
TR平衡がT状態にずれて、Hbの酸素親和性が減少する
HbF fetal
hemoglobin
胎児ヘモグロビンは母体のヘモグロビンよりも酸素親和性が高い
His H21(143)βが、
HbFでは
Ser H21(143)γに置換されているためBPGとの結合が弱い
HbS
低酸素下で赤血球が鎌状に変形する
ヘモグロビンのβ鎖の6番目のアミノ酸がグルタミン酸から疎水的なバリンに変異している
1
2 3 4
5 6
7 8
ATG/GTG/CAC/CTG/ACT/CCT/GAG/GAG/AAG/
Val - His - Leu - Thr - Pro
- Glu - Glu - Lys
ATG/GTG/CAC/CTG/ACT/CCT/GTG/GAG/AAG/
Val - His - Leu - Thr - Pro
- Val - Glu - Lys
ミスセンス突然変異
正常Hb
HbS
ホモ接合体では静脈血の50%の赤血球が鎌状となる
(ヘテロ接合体では1%)
鎌状赤血球貧血症 sickle cell anemia
分子病 molecular
disease
重合して繊維状になったHbS
1塩基の変異
1アミノ酸の変異
極性のGluが非極性のValに
Hbの表面に疎水的な部位ができる
水溶液中ではHb分子が重合して繊維を形成する(デオキシ型のみ)
赤血球の鎌形化
マラリアとHbS
マラリア分布とHbSの出現頻度には相関がある
HbSをヘテロにもつとマラリアにかかりにくい
異常Hbの分子病理学
異常ヘモグロビンはこれまでに300種以上が発見されている
異常ヘモグロビンの種類
1.外表面の変異
(HbSなど)
2.活性部位の変異
(HbM
Iwateなど:F8His→Tyr)
メトヘモグロビン血症
3.立体構造の変異
(Hb
Hammersmithなど: CD1Phe→Ser)
4. α1β2接触面の変異
(Hb
Yakimaなど: G1Asp→His)R状態の安定化
サラセミア thalassemia
ヘモグロビン鎖の合成が不完全なために生じる遺伝病
αサラセミア
4つあるα遺伝子のうちが3つ欠失→中度の貧血;HbH(β4)の合成
α遺伝子がすべて欠失→胎児水腫(死産)ゼータ鎖は妊娠8週まで合成
δβサラセミア
隣接するδとβ遺伝子がどちらも欠失→補償的にHbFが多量に作られる(無症状)
(遺伝性高胎児Hb血症)
1.遺伝子が欠失
(α鎖またはβ鎖が合成されない)
2.RNAの合成、プロセシングが異常
(mRNAの量が不足する)
3.タンパク質の大規模な変異
(フレームシフト、終始コドンへの変異などで
不安定なポリペプチド鎖が生じる)
サラセミアの例
ウエッブサイト:-------http://www.pdffind.com/pdf/23p90a/
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