2008年度「労働法」(水町)
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2009年度「労働法」(水町)(2009/11/11)
第11回 雇用関係の終了1―解雇(text160-173)
1 解雇手続の規制
1.1 解雇予告
○民法627条1項と労基法20条
○例外としての「労働者の責に帰すべき事由」
○予告義務違反の解雇の効力
#76
1.2 解雇の時期的制限
○労基法19条
1.3 労働協約等による手続的制限
○解雇協議・同意約款
2 解雇理由の規制
2.1 法令による制限
○差別的な解雇の禁止
○法律上の権利行使を理由とした解雇の禁止
2.2 就業規則・労働協約による制限
○解雇事由の列挙は限定列挙か?
例示列挙か?
2.3 判例による規制
2.3.1 解雇権濫用法理
○解雇の自由(民法627条1項)
○判例による解雇権濫用法理の形成
民法1条3項→労基法18条の2→労契法16条
○解雇の合理的理由
○解雇の社会的相当性
#77など
探究 日本の裁判所はなぜ解雇の相当性を厳格に判断してきたのか? それでよいのか?
2.3.2 整理解雇の法理
○整理解雇の「4要件」または「4要素」
#78
*4要件(要素)の立証責任は?
参考裁判例
2.3.3 変更解約告知の法理
○異議留保付承諾は認められるか?
○承諾しなかった場合の解雇の効力の判断は?
2.3.4 解雇権濫用の法的効果
○解雇無効(労働契約上の地位確認)
○解雇期間中の賃金支払い
○不法行為損害賠償
参考)東京自転車健康保険組合事件・東京地判平成18・11・29労判935号35頁
【判旨】
(1) 判断の枠組み
整理解雇が有効か否かを判断するに当たっては,人員削減の必要性,解雇回避努力,人選の合理性,手続の相当性の4要素を考慮するのが相当である。被告である使用者は,人員削減の必要性,解雇回避努力,人選の合理性の3要素についてその存在を主張立証する責任があり,これらの3要素を総合して整理解雇が正当であるとの結論に到達した場合には,次に,原告である従業員が,手続の不相当性等使用者の信義に反する対応等について主張立証する責任があることになり,これが立証できた場合には先に判断した整理解雇
に正当性があるとの判断が覆ることになると解するのが相当である(同旨,東京高判昭和54.10.29判時948号111頁・東洋酸素事件,東京地判平成15.8.27判タ1139号121頁・ゼネラル・セミコンダクター・ジャパン事件,東京地決平成18.1.13判時1935号168頁コマキ事件)。以下,このような観点から,本件整理解雇の有効性の有無について検討することにする。
(2) 人員削減の必要性
前記1(1)イ,ウ,(2),(3)で認定した事実によれば,①確かに,被告の被保険者数は年々減少してきているが,被告の収支は平成10年度から同16年度まで7期連続黒字であり,殊に,同15,16年度は連続して1億円を超える黒字を計上していること,また,同15年度の準備金は5億6087万円,別途積立金は1億4576万円,退職積立金は約6000万円であるところ,同16年度には,準備金,退職積立金は同15年度と同額であるが,別途積立金は2億2609万円と増加しており,内部留保額も多く,財政的には当面心配のない状況にあること,②被告は原告を本件整理解雇の翌日に原告の代替職員を採用していること,③原告の健康相談室での勤務時間は1週間にわずか2時間であることが認められる。
以上のような被告の財政状態,職員の採用状況に照らすと,被告においては,本件整理解雇時に人員削減の必要性があったということはできない。
(3) 解雇回避努力
前記1(6)エ,オで認定した事実及び弁論の全趣旨によれば,被告は,本件整理解雇時までに原告を他の職務に転換させる等の話し合いなどしたことがなく,その他解雇回避努力を尽くした形跡はないこと,かえって,原告を整理解雇した直後に新たに原告の代替職員を採用していることが認められる。
以上によれば,被告は,本件整理解雇に際し,解雇回避努力を尽くしたとはいえない。
(4) 人選の合理性
被告は,健康相談室の廃止に伴い,原告を整理解雇したと主張する。しかし,前記1(1)イ,(3)で認定した事実によれば,原告が担当していた健康相談室での担当業務は木曜日の午前中だけの執務であり,原告の大部分の職務は総務課での業務であることが認められ,そうだとすると,健康相談室廃止に伴い,原告を整理解雇の対象に選ぶ合理性は乏しいというべきである。
以上によれば,本件整理解雇には,人選の合理性があるということはできない。
(5) 小括
前記(2)ないし(4)で検討したとおり,本件整理解雇には,人員削減の必要性,解雇回避努力,人選の合理性について,いずれの要素についても立証がされていないというべきであり,本件整理解雇は有効ということはできない。
したがって,この点の被告の主張(抗弁)は,その余の点を判断するまでもなく理由がないということになる。
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